ただ相手が外国人だから、こうしたトラブルが起きるとは言い切れない。部下が日本人でも当てはまるからだ。「最近の若い者は」は年配者の常套(じょうとう)句ではないか。トラブルが起きるのは「やるべきことを具体的に言えないリーダーに問題がある。それはダメリーダーでしかない」と小林会長は言い切る。その上で「違いを認めることが大事であり、多様性を持った『物語コーポレーション』でありたい」と強調した。企業成長にはダイバーシティーが欠かせないというわけだ。
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そもそも外国籍社員を採用したのは、自分の意見を素直に伝えるという外国文化を取り入れることで社内に化学反応を起こしたいからであり、さまざまなバックボーンをもつ人間が集まることで成熟し魅力的な組織をつくりたいからだったという。
就労人口の減少は外国人にとどまらず、高齢者や障害者の雇用を間違いなく企業に促す。育った時代や環境が違うので、自分の意見、考えと異なるということが普通になってくる。言い換えると、自分の考えを具体的に伝えるという日本人が苦手とする文化への挑戦が求められる。日本人の常識は外国人からみると非常識に映るかもしれない。ダイバーシティーは、外国人に「郷に入れば郷に従え」と教えているわけではなく、日本人にムラ社会からの脱出を促しているわけだ。それが企業価値の向上をもたらすのは間違いない。