大成建設、ホップの力で汚染地下水を浄化 有益微生物の活性化技術 (3/3ページ)

2016.5.30 06:39

地下水浄化工事の様子。深さ10メートルの井戸を50平方メートルに1本の割合で掘り、土壌細菌の栄養分を流し込む

地下水浄化工事の様子。深さ10メートルの井戸を50平方メートルに1本の割合で掘り、土壌細菌の栄養分を流し込む【拡大】

 その結果、ビール酵母エキスを使った場合、組み合わせにかかわらず高い効果を得られることが判明した。

 しかし、他社製品は「酵母によるデハロ菌の活性化」で特許を取得していたため、単にビール酵母エキスを用いるだけでは、この特許に抵触してしまう。そこでビール酵母エキスのうち、どの成分が効くかを研究。最終的に、それが「ホップ」と突き止めた。

 ホップに含まれるα酸などの苦み成分は、乳酸菌などへの抗菌作用を持つことが知られている。高畑氏は「ホップの抗菌作用がデハロ菌以外の微生物に働くことで、デハロ菌の効果的な増殖に役立っているようだ」と解説する。

 このホップエキスを使えば、1万立方メートルの大規模な汚染でも半年から1年程度で浄化が可能だ。数年かかるのが当たり前だった工期を大幅に短縮できる。大成建設は今後、デハロ菌がいない土地にデハロ菌を導入する手法も実用化するなど土壌や地下水の浄化技術に磨きをかけていく計画だ。(山沢義徳)

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