「新しい技術にはメリットとデメリットがある。問題が起こったときに素早く対応できる態勢を今から整えるべきだ」
4月中旬、人工知能(AI)との共生に向けた課題などを探る総務省の有識者検討会が開かれた。
「(AIに)管理されるようで気持ち悪い。何となく嫌だな…とも感じる。そんな心理面にも配慮が必要では」。東大の江間有沙特任講師(科学技術社会論)は約30人の出席者を前に、AIの進化が社会にもたらす漠然とした不安を解きほぐす大切さを語った。
江間さんが不安の一例に挙げるのが、インターネット書店のアマゾンが過去の購入履歴などをもとに「おすすめ」を知らせてくれるサービス。購入者の考えや判断を学ぶAIの能力は今後も向上が予想される。「知らないうちに特定の方向へ人が誘導される可能性もある。何をどこまでAIに任せてどんな社会にしていくのか。一人一人が考える必要がある」
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技術の悪用や社会との軋轢(あつれき)を防ごうと、AIの開発や使用時のルールをめぐる議論も始まっている。
4月末に高松市で開かれた先進7カ国(G7)情報通信相会合。「AIについては世界の知恵を結集し人類の繁栄につなげる」。高市早苗総務相は閉幕後の記者会見で、AIの開発ルール作りで合意した成果を強調してみせた。