ウジミナスのイパチンガ製鉄所=ブラジル・ミナスジェライス州【拡大】
同社は来年3月に日新製鋼を子会社化するほか、国内設備の合理化を加速するなど、投資を増やしている。仮にテルニウムが株を手放すとしても、予定外の出費は避けたい。一方、経済が悪化しているとはいえ、ブラジルは鉄鋼需要の中長期的な拡大が見込まれる有望市場だ。深いつながりのあるウジミナスという拠点は手放したくない。
となると、ウジミナスの立て直しは現状の中で解決するしかないが、妥協の余地は小さい。今月1日には、両社がウジミナスの分割協議に入るという一部報道に対し、新日鉄住金が「そのような事実はない」と否定する場面もあった。
他のメーカーに比べると業績堅調な新日鉄住金も、海外事業は赤字で、収益改善が急務だ。中長期の成長には海外展開の加速は欠かせないだけに、重要市場でのつまずきは痛い。(井田通人)