携帯電話などのIT製品や家電製品などの廃棄物資源から貴金属やレアメタル(希少金属)を取り出し、資源を再活用する「都市鉱山」発掘事業。そのパイオニアとして注目された木村メタル産業が5月10日、名古屋地裁に破産を申請し同日、保全管理命令を受けた。
木村メタル産業は当初、家電やパソコン、鉄くずを解体し、銅、アルミニウム、鉄などを取り出す作業が中心だった。多くのリサイクル業者は顧客から処理費用を受け取り、産業廃棄物処理を行っていたが、同社は産業廃棄物を有償で買い取るビジネスモデルを確立した。
2001年4月施行の家電リサイクル法も追い風となり、メーカーや大手量販店からの産業廃棄物は増加の一途をたどった。
06年12月、岐阜県関市に関エコテクノロジーセンター(現在の第一工場)、2年後には同第二工場も建設。08年10月には埼玉県熊谷市に関東事業所を建設するなど関東・東日本に中間処理施設を整備した。
さらに12年9月、リサイクルの本拠となる関市に総工費約18億円を投じ「関エコテクノロジーセンター本工場」を建設。同工場は廃家電などからレアメタルや貴金属類などを抽出し、月間3500トンの解体・回収が可能な国内最大級の処理能力を誇った。15年5月期は過去最高となる売上高67億6118万円をあげた。
だが、経営環境は徐々に変化した。大口顧客だった日本の家電メーカーが軒並み経営不振に陥り、廃家電の流通量が減少。メーカーが廃家電処理を内製化する動きもあり、十分な仕入れ量が確保できなくなった。
このため物量の増加を前提に建設した各地工場の稼働率が低下、関エコテクノロジーセンター本工場は過剰投資となり、経営の重荷となった。