シャープ株主総会が始まり、壇上の社長・役員が謝罪をする=23日午前、大阪市西区(前川純一郎撮影)【拡大】
株主からは、改めて今回の提携交渉過程などに対する質問が相次いだ。特に鴻海(ホンハイ)精密工業への傘下入りが決定した経緯や、出資額が当初よりも大幅に減額されたことに疑問が投げかけられた。
これに対し、主力取引銀行の三菱東京UFJ銀行出身の橋本仁宏取締役は「鴻海と産業革新機構の両方の案を慎重に検討した結果」とし、成長投資資金の確保や財務体質の改善、提携によるシナジー効果を挙げたうえで、「鴻海の支援を受けることはベストと判断した。交渉の経緯は相手のあることなので詳細は明らかにできないが、確実に出資いただけることを優先した。両社で真摯(しんし)に協議した結果であることをご理解いただきたい」と回答した。
さらに株主からは、鴻海に対する偶発的債務の通知が遅れたことが不利な交渉結果につながったとする指摘や、高橋興三社長の去就についても質問が相次いだ。
高橋社長は「偶発的債務の通知については、出資自体がなくなる可能性があるため、時間差が発生してしまった。自身の去就については、提携先がどちらに決まっても退任を決めていた」と述べた。
モニター調査で消費者の3割が「シャープの製品買いたくない」と回答したという一部報道についても、株主から質問があった。
これには高橋社長が「我々も独自に調査しているが、数量では4Kテレビや冷蔵庫も売れている。報道が間違いとは言わないが、実売データは落ち込みが出ていないと認識している」と答えた。