
公的資金注入問題に揺れるモンテ・パスキのローマ支店=12日、ローマ市内【拡大】
英国のEU離脱問題をめぐる市場の混乱は和らぎつつあるが、「イタリア発」金融不安への警戒感が台頭してきた。対応を誤れば、リーマン・ショックの二の舞になりかねず、世界の市場関係者は、欧州中央銀行(ECB)が29日に公表するユーロ圏主要銀行の資産査定と健全性審査(ストレステスト)の結果を注視している。
ユーロ圏の銀行は、ECBの「マイナス金利政策」で利ざやを稼ぎにくくなった。さらに、EU離脱騒動で国債利回りが一段と低下し、運用収益も縮小した。
中でも不安視されているのがイタリアの銀行だ。同国の銀行が抱える不良債権の総額は3600億ユーロ(約41兆円)。融資全体に占める不良債権の比率は約18%と5%未満の英独仏などと比べ、突出している。
特に、イタリア3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行はECBから不良債権を3割も減らすよう求められたが、不良債権比率は約4割に上る。ストレステストの結果、損失処理の上乗せを迫られれば、多額の赤字計上で資本不足に陥る恐れもある。
イタリアのレンツィ政権は銀行の資本増強に向け公的資金の投入を検討中。EUは税金である公的資金を使う前に株主や債券の保有者に損失を負担させるルールを1月に導入したばかりだが、イタリアでは個人が預金感覚で銀行債を購入している。このため、政府は有権者の反発を恐れて新ルールに難色を示す。
邦銀のイタリアの銀行への融資額は20億ドル(約2千億円)と欧米諸国より少なく、イタリアの銀行が破綻しても日本への直接影響は小さそうだ。ただ、マネックス証券の大槻奈那氏は「EUとイタリアの協議が難航すれば、欧州の金融不安が再燃する懸念もある」と分析した。(藤原章裕)