石油元売り2位の出光興産の創業家が、5位の昭和シェル石油との合併に反対している問題は、合併の是非を判断する公正取引委員会の審査に影響を及ぼす可能性がある。破談になれば、並行する最大手のJXホールディングスと3位の東燃ゼネラル石油との合併審査が有利に進むとの見方が浮上している。企業数が多いほど競争が機能し、価格の高止まりを避けられるためだ。
大手に位置付けられる石油元売りは現在5社。再編後はJXと東燃ゼネラル、出光と昭和シェル、コスモエネルギーホールディングスの3社体制になる。公取委は「競合する企業が4社より、3社に減る方が市場への弊害は大きい」と警戒しているとされる。
しかも3社は売り上げ規模でみれば「2強1弱」(関係者)の構図で、2強にとっては値下げするより、値上げした方が利益につながるとの判断に向かいやすい。再編の一角が崩れれば、こうした懸念が払拭される。
石油元売りの顧客は、大半が小規模な販売店で値上げ要請を断りにくい。2012年に新日鉄住金が誕生し、大型再編が実現した鉄鋼業界の場合、顧客が自動車など大口で購買力が強い。公取委は業界の事情も踏まえながら審査に臨んでいるとみられる。