もぎたての販売戦略などを立案する社内横断チーム「AZ」の存在も忘れてはいけない。チーム名はもぎたての開発記号からとったもので、最初から最後まで“新鮮でおいしい”という意味が込められている。マーケティング部門や営業部門、デジタルマーケティング部門など9部署から集められた約20人で構成され、全社的にもぎたてという商品の理解を深めるための役割を担う。また、サンプリングや広告といったもぎたてが売れるためのアイデアを出し合う。発売と同時のブレークも「AZ」の協力がなければ実現は難しかっただろう。手間を惜しまない商品づくりはチーム全員の飽くなき探求心が原点となっており、チームの快進撃が予想される。
ただ、缶チューハイ市場の覇権をめぐる争いは激化しており、「手を抜くことはできない」(宮广さん)と気を引き締める。メンバー全員で知恵を絞る日々は当面、続きそうだ。
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≪MARKET≫
■高めのアルコール度数が人気
チューハイは「焼酎ハイボール」の略称で、焼酎やウオッカなどの蒸留酒を炭酸水と果汁などで割ったアルコール飲料。缶チューハイ市場はビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)市場が伸び悩む中、右肩上がりで伸びている。業界の推計によると、2016年の缶チューハイやカクテルなどRTDと呼ばれる国内市場規模は前年比9%増の1億6400万ケースと9年連続で伸びる見込みだ。
購入後、栓を開ければすぐに飲める気軽さが受け、若者や女性を中心に人気が高まった。また、節約志向の高まりを背景に、ビールよりも約80円安い手頃な価格も人気の秘密となっているようだ。
好調な缶チューハイ市場の中で人気が集まっているのが、アルコール度数が8~9%と高い商品だ。このため、ビール各社はアルコール度数が高めの缶チューハイを戦略商品と位置付けている。