ベンツとBMW、日本を舞台に真逆の販促策で勝負 両社の狙いは? (3/3ページ)

2016.8.9 06:36

BMWの大型販売拠点「BMWグループ東京ベイ」に展示された車両=6月、東京都江東区
BMWの大型販売拠点「BMWグループ東京ベイ」に展示された車両=6月、東京都江東区【拡大】

 BMWの日本法人は7月8日、東京都江東区の臨海副都心地区に大型の販売拠点「BMWグループ東京ベイ」をオープンした。敷地面積は約2万7000平方メートルで、駐車場部分の約5000平方メートルは訓練走行に使えるようにし、雨天での運転を想定した訓練などができる本格的な設備となっている。試乗車は、BMWと、グループのMINI、二輪車ブランド「BMWモトラッド」の全現行モデルを用意。平日夜に仕事の後に走れるよう夜間照明も設置した。この施設で気軽に試乗してもらいBMWのデザインや内装、走りのファンになってもらい実際の販売につなげる狙い。カフェや最大400人収容の会議用ホールも併設しており、年間約30万人の来場を見込んでいる。BMWグループ日本法人のペーター・クロンシュナーブル社長は「将来の販売拠点の代表例になる」と話している。

 若者掘り起こし

 ベンツとBMWが、日本のメーカーに先んじて、車を置かないバーチャルショールームや超巨大な体験型販売拠点を日本に設けたのは、新たな取り組みを通じて若者など新規顧客の掘り起こしが進められるとみているからだ。両社の顧客層は、中高年の富裕層が多く、しかも「指名買い」が多い。ただ、ベンツ、BMWに乗ることをステータスとするこうした購買層に対し、そもそも車自体への関心が薄い若年層へのアプローチには苦慮しており、こうした潜在顧客にどう訴求するかが日本事業の今後を左右しかねない状況にある。そこで両社は、新たな売り方へのチャレンジに活路を求めたというわけだ。

 ベンツの場合は書店に立ち寄った“ついで”に車両をみてもらい、BMWは実際に多くの車種に乗ってもらうという、手法は異なるが車のカッコ良さを存分にアピールする取り組みを通じて、来店客に心底ほれこんでもらい、新車販売の拡大につなげる考えだ。(今井裕治)

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