
試験走行中のヌートノミーの自動運転タクシー=8月24日、シンガポール(AP)【拡大】
◆日本人だけではピント外れ
しかし、課題もあるのではないだろうか。たとえば、日本人だけで世界各地の仕向けや仕様を考えても、ピント外れになることはないだろうか。またウェブが発達した時代であっても、世界中の先端技術や真に必要な情報が、日本の開発部門に集まるであろうか。さらには、日本は規制の多い国であり、その基準で考えて、自由な発想は出てくるであろうかなどである。
特に、今回のヌートノミーのように、世界初となる自動運転タクシーを開発し、実際に公開試験をしようとすれば、日本で考えていると規制のことばかりに集中してしまい、開発のスピードアップや実行計画までは結び付かなかったように思える。実現できたとしても、規制緩和された段階となることから3~5年遅れてしまうであろう。
このように考えてくると、これまでにない新しいことを行おうとすれば、先端であればあるほど、開発、実証試験や市場導入をどこで行うかを考えることも大切になる。
必ずしもシンガポールとは限らないが、各地のメリット・デメリットを踏まえて拠点を検討し、上層部を説得して遂行することは、プロジェクト責任者に求められる役割と思われる。
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【プロフィル】和田憲一郎
わだ・けんいちろう 新潟大工卒。1989年三菱自動車入社。主に内装設計を担当し、2005年に新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。13年3月退社。その後、15年6月に日本電動化研究所を設立し、現職。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版)がある。59歳。福井県出身。