出光興産による昭和シェル石油株取得が延期になったことで、来年4月を予定している両社の合併は混迷の度合いを深めている。公正取引委員会は現在出光・昭シェルと、JXホールディングス・東燃ゼネラル石油の2件をセットで審査。審査の煩雑化で遅れが出ているとされ、出光は「創業家との対立は公取委の審査に影響しない」(広報CSR室)としている。だが、出光・昭シェルの合併計画が暗礁に乗り上げたままのため、公取委は8月に最終合意したJX・東燃の統合と切り離して様子見に転じるとの見方も少なくない。
昭シェル株の取得が遅れ、合併の是非を問う出光の臨時株主総会の年内開催が予断を許さない中、合併承認のハードルは高くなっている。3日には出光創業家の出光昭介名誉会長が代表を務める出光美術館と出光文化福祉財団が合併反対を決議した。創業家側は株主総会で合併を拒否できる3分の1超の約33.9%の株式を保有していると主張。これには、創業家が持つ約21%分のほか、両財団の持ち分計12.75%も含まれる。創業家側は合併阻止に向け足場を固めた形だ。
経営側は5日、両財団の理事らに合併の意義などを説明する機会を求める書簡を送った。だが、昭介氏は「説明を受ける必要はない」と回答し一蹴。経営側は今後、理事らに個別に説明する機会を求めていく方針を示したが、説得は一段と難しくなっている。(佐藤克史)