出光興産と昭和シェル石油との合併計画を進める経営側と、反対する創業家との攻防が激化している。創業家側は出光の大株主である2つの公益財団法人で定款を変更し、合併の是非を問う臨時株主総会で反対票を投じることを決めた。経営側が合併に先立ち昭シェル株を一部取得する計画をめぐっても駆け引きが行われている。双方とも歩み寄りの姿勢をまったく見せず、先行きは不透明だ。
全理事が一致
公益法人は出光文化福祉財団と出光美術館。文化福祉財団は出光株の7.75%、美術館は5%を保有し、出光創業者長男の出光昭介名誉会長が代表を務める。これまで創業家側は出光の大株主として約33.9%の株式を保有していると主張してきた。これは、創業家が持つ約21%と、2つの財団の持ち分を合わせた数字だ。6月の出光の定時株主総会では、両財団とも創業家に同調して合併計画を進める月岡隆社長ら取締役の再任決議案に反対した。
出光が昭シェルと合併するには、株主総会で3分の2以上の賛成を得る必要がある。創業家と2つの財団が反対すれば、合併を阻止できる。逆に財団が1つでも合併支持に回れば、創業家側は合併阻止に必要な3分の1超の議決権確保が難しくなるという状況だった。