「レトロ自販機」絶滅の危機 うどんやハンバーガー…希少価値で遠方から来客も (3/3ページ)

佐原商店のうどん・そば自販機。40年以上にわたって人々に親しまれた=3月7日、秋田市
佐原商店のうどん・そば自販機。40年以上にわたって人々に親しまれた=3月7日、秋田市【拡大】

 再生産は不可能

 レトロ自販機の人気で、生産復活を望む声もあるが、75~95年まで、うどん・そば自販機を製造した富士電機広報IR部は「今は生産できる人や設備がない」としている。75~78年までトーストサンド自販機を製造した太平洋工業も同様に生産できないという。

 各社とも売り切りで、どこで稼働しているのか把握できておらず、メーカーのアフターサービスも終了し、修理業者も全国にわずかというのが実情だ。

 自販機卸売業の関東自動機器(埼玉県坂戸市)にも、人気が出ており、レトロ自販機を使いたいというニーズが増えているが、岡田有吉社長は「しっかりした自販機を提供しないと信頼を失うため、市場に再投入できるものは限られる」と話す。

 今では24時間営業のコンビニエンスストアが各地に広がり、食べることに困らなくなり、レトロ自販機の役目は終わり、絶滅する方向へ向かっている。その一方で、昭和レトロの懐かしい味を求める人たちが増えているのも事実だ。レトロ自販機には、なくなればなくなるほど、人々を魅了する不思議さがある。(黄金崎元)