
酒フェスティバルの岩手県スタンド(左)【拡大】
そのミラノの状況を「パリの10年前だと言われました」と、出展したある地酒メーカーの営業担当は話した。10年前には英国のWSET(ワイン&スピリッツ・エデュケーション・トラスト)の日本酒コースはなかったし、米国発で世界のワイン界を揺るがすロバート・パーカーズの「ワイン・アドヴォケイト」は日本酒を評価していなかった。これらはごく最近の話だ。
だから10年の差があるとの表現は、酒に対して関心のある人に出会う確率を指しているのではないか。あるいは酒インポーターの絶対数を言っている。理解の深さを指しているのではないだろう。
ところでミラノで酒への関心の盛り上がりがあっても、必ずしも酒の流通が並行して同じ調子で伸びているわけでもない。ボトルを買って家呑みするケースは少ないから、バーやレストランでのグラス呑みが主流になるが、前述のように「導入検討中」が多いくらいだから、実際に触れる機会は極めて少ない。
冒頭の中国人は「イタリアに千以上ある中国系経営の日本料理屋で、もっと酒の文化を広める必要を感じている」と、日本文化にも造詣の深い彼は考えている。その時、50年という年数をあげた彼の意図が見えてくる。ボリュームゾーンをどう変えていくかに関心の的があるのだ。
トレンドの先端をいく人たちが酒を好きになり、酒の知識が増え、日本の酒蔵まで足を運んでもらうプロセスを描くことは有益であるが、同時にボトムアップのはかり方を思案するのも大切だ。
中小の地酒メーカーが「それは大手量産メーカーに任せること」と言ってはいけない。それぞれにやるべきことがあるはずだ。