
酒フェスティバルの岩手県スタンド(左)【拡大】
また、いろいろな酒のプロモーションを見ていると、時を急ぎ過ぎている印象を受ける。何かイベントがあると過剰に喜び、数年で酒の受容が急激に変化することを期待した言動が多い。「世の中を変えてやる」という威勢の良い言葉も飛び出る。
ソーシャルメディア時代において、変化が素早いのは事実である。
しかしながら、酒を輸入文化として受けいれる人たちの目からすると、それらの言動は文化の素人と目に映る。日本文化の海外市場への紹介者と自称しながら、文化の構造や性格に無理解であることを自ら暴いているようなものだ。
イタリアで一番酒を売る中国人は、ソーシャルメディアも自ら使いこなし、その威力もよく分かっている。が、文化を理解するプロであると思わせる術も知っている。あえて50年と言うのは、本人が本気でそう考えているかどうかとは別に、文化理解者として振る舞うための策でもありそうだ、とぼくは直感的に思った。
数年で文化を変えると大きな声で叫ぶ人を、他人は信用しない。だからこそ周囲の人間は、「50年を要する」との言葉に腑の落ちる表情をする。(安西洋之)
【プロフィル】安西洋之(あんざい ひろゆき)
上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih
ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。