
会見で新経営体制を説明するエイチ・アイ・エスの沢田秀雄会長=28日午後、新宿区西新宿のエイチ・アイ・エス本社(山沢義徳撮影)【拡大】
旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)は28日、創業者の沢田秀雄会長(65)が社長に復帰する人事を発表した。会長職は続投し、最高経営責任者(CEO)も兼務する。平林朗社長(48)は11月1日付で代表権のない副会長に就き、M&A(企業の合併・買収)戦略と、新設するホテル子会社の社長を担う。
沢田氏は28日、東京都内で会見し「(国内最大手)ジェイ・ティー・ビーとの競争を終え、世界で戦うための体制を作る」と復帰の理由を説明。アジア各国で伸びる旅行需要を「攻めのM&A」(沢田氏)で取り込み、5年以内に売上高を1兆円規模に倍増する目標を示した。
あわせて、各部門に責任と権限を持たせる「社内カンパニー制」を導入し、意思決定の迅速化を図る。少子化などで日本発の海外旅行客が減少する中、急増する訪日客向けの事業を強化するほか、電力小売りやロボットなど新分野の成長に向け、若手への権限委譲を進めるという。
沢田氏は昭和55年に起業し、欧米で一般的だった「格安航空券」を日本に普及させた。航空会社スカイマークエアラインズの設立や、証券業参入など異業種への投資も積極的に進めてきた。ただ、近年は「意思決定の速度が遅くなってきた」(沢田氏)ため、経営体制の刷新を決めたという。