過去に2度、トヨタがスズキを救済
一方、トヨタも課題を抱えており、自社の技術を世界に広めていく標準化戦略が弱点だった。同社が誇るハイブリッド車や燃料電池車にしても、なかなか世界に広がっていかない。むしろ世界の流れはトヨタが力を入れていない電気自動車に傾きつつある。
「1社が個別に技術開発するのでは限界がある。インフラ分野での協調や標準化の仲間づくりが重要な要素になってきている。環境が激変する中、生き抜くために必要なのは変化に対応する力だ。これこそが今のトヨタが乗り越えなくてはいけない課題だと思っている」と豊田社長は強調する。
トヨタはここ数年の間に富士重工業、マツダと相次いで提携関係を結んできた。そこに世界で286万台の販売規模を持つスズキが仲間に加われば、標準化競争で優位に立てると判断したのである。
それにしても、鈴木会長が豊田名誉会長に相談してから1カ月以内での発表とは速い。通常の提携会見の場合、ある程度の大枠が決まってから行うものだが、今回は何も決まっていない。その裏には豊田家と鈴木家の強い絆があったからと言っていいだろう。両家はともに発祥が遠州(現在の静岡県西部)で、同じ自動織機の生産から事業をスタートした。その後、スズキはトヨタに2度救済された歴史がある。