
客離れが進む伊勢丹新宿本店=東京都新宿区【拡大】
この傾向は三越伊勢丹だけでなく、業界全体の問題でもある。ただ、三越伊勢丹は売上高全体で百貨店事業が占める割合が85%と高く、他社よりも厳しい環境にあるのは確かだ。
一方、大丸と松坂屋を運営するJ.フロントリテイリングは松坂屋銀座店跡に森ビル、住友商事と共同で「GINZA SIX」を来年4月に開業する。松坂屋の看板を掛けず、高級ブランドや体験型消費のテナントを誘致する。オフィスも入居させ、建物の収益の大半は賃貸収入が占める。
事業転換に出遅れ
高島屋も新宿の「タカシマヤタイムズスクエア」でニトリにスペースを貸し出す方針を打ち出すなど、不動産賃貸事業に舵を切り始めた。
今はインターネットが普及し、いつでもどこでも安くて良いものを手に入れられる時代に変わった。消費者ニーズの変化は速く、対応が一歩遅れれば、老舗の三越伊勢丹であっても、凋落(ちょうらく)の一途をたどる可能性さえある。大西社長は会見で「将来的には売上高を百貨店が60%、その他が40%の形にしないといけない」と述べたものの、新たなビジネスモデルの具体像を示せていない。
三越伊勢丹は14年3月期の連結営業利益で過去最高を計上したが、爆買い頼みの側面が否めなかった。それだけに急な失速はダメージが大きい。国内の消費動向の変化を踏まえた新たな成長の青写真を早急に描けるかが老舗百貨店の前途を大きく左右することになりそうだ。(黄金崎元)