
スズキと競合する新型小型車「トール」を発表したダイハツ工業の三井正則社長(右)と、トヨタ自動車の佐藤康彦常務役員【拡大】
スズキとダイハツの間をトヨタはどう取り持って行くのか。豊田章男社長は10月12日にスズキとの提携協議入りを発表した会見で「私共の判断・決断で多くのステークホルダー(利害関係者)が影響を受ける」と述べ、提携交渉は、ダイハツとの関係なども踏まえ、慎重に検討していく考えを示した。
先進技術で規格作り
スズキとの提携に向けた協議では、自動運転などのITや環境対応車、安全技術といった先端分野での協力検討が最大の主眼。スズキはこうした技術の開発が遅れており「トヨタの技術を共有する」(鈴木修会長)のが狙いだ。一方、トヨタは、競争が激化する先進技術でリードするため、規格作りに向けた仲間を増やし「日本連合」を構築したい考えだ。
菅義偉官房長官は提携発表翌日の10月13日の会見で、こうした目標を下敷きとしたトヨタとスズキの提携協議開始について「日本の自動車産業の競争力強化につながるよう、検討が進むことを期待したい」と述べた。
政府の大きな期待も背負うトヨタとスズキが、競争力強化という大きな目的のために協議をまとめあげるには市場の競合関係の調整を避けて通れない。ダイハツとの折り合いという難問は解けるのか、両社の提携に向けた本気度が試されている。(今井裕治)