
「がってん寿司」の上海法人を率いる倉地厚・董事長兼総経理(中央)と中国人従業員(河崎真澄撮影)【拡大】
サービス面では客席の目の前に板場を配した「グルメ回転ずし」と呼ばれる中国では珍しい板前の包丁さばきを見せる配置も導入。「テーブル席よりカウンター席を好む来店客が増えている。すしの楽しみ方が中国でも広がってきた」と倉地氏は感じている。訪日観光を経験した中国人の意識変化だろうか。
ネタは本マグロやブリ、アジなどは長崎や鹿児島、愛媛といった日本もの。サーモンはカナダや英国のスコットランド、チリ。そのほかロシアやアラスカなど幅広い。
一方、中国大陸の沿岸は底引き網漁で稚魚まですくわれて壊滅的な状態にあるといい、以前は大きな水産地だった遼寧省大連も含め、近海ものはほとんどないのが実情だ。
従業員教育で苦心
中国での店舗展開でさらに重要なのが、日本式サービスを提供するための中国人従業員の教育だろう。「日本のように『この仕事をやっておけ』では済まされない。言葉だけでなく身ぶり手ぶりも交えて(店内での仕事を)やってみせなければ通じない。教育こそが経営だと思っている」(倉地氏)という。
店舗内できびきび動く従業員も人気を支える。江蘇省出身の女性店員、魏寧さん(21)は「3年前に入社したときは、社内教育で細かいことを言われて慣れなかったが、今では日本の文化だと感じている。働きながら店舗管理の多くのことを勉強できた」と手応えを感じている。吉林省出身で入社2年で副店長に抜擢された蔡遠東氏(30)は「料理やサービスへの評価で、お客さんに再び来店してもらえるような仕事を目指している。この店でもっと学んで、将来は自分の店を出したい」と話した。