
フォルクスワーゲンが北米国際自動車ショーで披露したSUVの新型「ティグアン」。2年連続の販売首位へ米国市場での巻き返しも狙う=8日、デトロイト(AP)【拡大】
トヨタ自動車の5年連続グループ世界販売台数年間首位の達成が絶望的となった。ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の2016年のグループの世界販売台数は1031万2400台だったのに対し、トヨタの見通しは1009万台で約20万台の大差をつけられての敗北となる。1000万台というハイレベルの頂上決戦の明暗を分けたのは、自然災害などによるトヨタの生産影響と主力市場での優劣だった。
5年ぶり首位陥落
「困難な条件下で安定した営業成績を残すことができた」
VWのミュラー会長は、10日発表した16年のグループ世界販売台数が排ガス不正問題に揺れる中でも前年比3.8%増で過去最高となったのを受け、こうコメントした。
これに対してトヨタの16年1~11月のグループ世界販売台数は0.1%増の921万9000台で、一昨年12月の世界販売(87万台)から横ばいでも年間では1009万台程度で追いつけない。トヨタは12年に米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜き世界販売で首位に浮上して以降、4年連続でトップを守っており、首位陥落となれば5年ぶり。VWはここ3年間は毎年世界2位で、トヨタとの差は13年が25万台、14年が10万台、15年が22万台だった。
VWは15年も1~6月期の世界販売がトヨタを上回り首位だったが、排ガス不正問題で下期に失速して年間ではトヨタの後塵(こうじん)を拝した。不正問題に揺れたにもかかわらず、今回、VWが16年に年間首位となるのには理由がある。
一つがトヨタの国内工場の停止影響だ。16年2月にグループの愛知製鋼で爆発事故が起き、国内の車両生産を約1週間停止。4月の熊本地震ではアイシン精機の子会社が被災し合計で約17万台の減産となった。5月にもアイシンの別の子会社で爆発事故があり、生産がさらに約1万台減った。この余波で出荷が遅れ販売にも大きな影響が出た。