
フォルクスワーゲンが北米国際自動車ショーで披露したSUVの新型「ティグアン」。2年連続の販売首位へ米国市場での巻き返しも狙う=8日、デトロイト(AP)【拡大】
もっとも最大の要因は主力市場での明暗だ。トヨタは世界販売の4割を依存する米国で、得意とする燃費性能の良いセダン系の販売がガソリン安で低迷。VWも排ガス不正問題が最初に明るみに出た米国は2.6%減となったが、最主力の中国市場が12.2%増で全体の販売台数を押し上げ、トヨタとの年間の販売差につながった。
米での販売体制強化
16年は自然災害や事故に振り回され首位から転げ落ちるトヨタだが、捲土(けんど)重来に向け着々と手を打つ。生産面では16年上期の減産分を下期の増産でほぼ取り戻した。製品ラインアップの拡充も急いでいる。
国内では16年11月に小型ワゴン車「タンク」と「ルーミー」に加え、12月には世界戦略車と位置づけるスポーツ用多目的車(SUV)「C-HR」を投入した。米国でも、ガソリン安で人気のSUVやピックアップトラックの販売体制を強化。米国での新車販売台数が盛り返し始めるなど反撃に向けアクセルを一気に踏み込む。
トランプ次期米大統領の経済政策による市場変動リスクはあるものの、トヨタは17年の自動車各社による米新車販売台数の合計が1720万台に上り、3年連続で1700万台を超えるとの予測を示す。一方、中国も小型車を対象にした減税の延長により市場の落ち込みは回避される見通し。米中市場の堅調が見込まれる中、17年も年間販売台数1000万台以上の頂上決戦はさらなる激化が必至。
それぞれが得意とする主力市場で、ニーズに応じた品ぞろえの強化や価格対応などで適時適切な戦略を繰り出せるかが決戦の行方を左右することになりそうだ。(今井裕治)