しかし、本来目指すべき「働き方改革」は「女性の活躍」を中心に考えるのではなく、もっと幅広い視野に立ち、日本の現状、世界の現状の中で、安定・安心の暮らし、その先にある人々の幸せはどのようにしてつくっていくのかということに、議論の中心を置くべきである。それは「働き方」の先にある「生き方」を問うものでもある。
耐え難いほどの長時間労働や劣悪な労働環境が強いられる背景には、過度の競争意識があることも事実だ。ITの進歩により、「どこでも、いつでも」仕事ができる環境が整ってきたのは良い面もあるが、「どこにいても、いつも」仕事のことを考え、対応し、以前よりも仕事の拘束は精神的に強まっているようにも見える。
フリーランスで仕事をしてきた私自身は、仕事とプライベートの境があまりなく、苦痛と考えたことはなかったが、それでも子供の学校行事で半日スマートフォンの着信に気付かないだけで「どうしたかと思った」と言われると、「ちょっと待ってよ」と言いたくなる。
雇用者であるならば、退社時間を早めたり、年次休暇取得率を向上させたところで、実際の生活は「スマホと共存」で、ひとときも仕事からは解放されず、劣悪な労働環境は実態としては改善されないのである。
世界は競争の波にさらされ、特に技術革新の分野においては、1分1秒を争うことも事実だ。企業経営にも即断即決が求められ、速いスピードで世の中が変化していくこの流れは、もはや止めることはできないだろう。