ソニーは30日、映画事業で1121億円の損失を計上すると発表した。今後、映画のDVDやブルーレイディスク(BD)などの販売市場が想定よりも早く縮小すると判断し、将来の収益見通しを引き下げた。2月2日発表の2016年4~12月期連結決算で、本業のもうけを示す営業損益に盛り込む。
ソニーは17年3月期の営業損益を2700億円の黒字、最終損益は600億円の黒字と予想している。今回計上する損失の業績見通しへの影響は、保有株式の売却益が別に発生するため「精査中」としている。
損失は主に、1989年に買収したコロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメント(現ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)に関するもの。市場縮小をにらんで事業価値を当初より低く見直したことを受け「減損処理」を実施した。
ソニーは映画製作事業で収益を改善する施策を打っており将来は成長できると説明。重要な事業という位置づけは変えないとみられる。
ソニー・ピクチャーズエンタテインメントが手掛けるテレビ番組事業などは好調という。
一方、ソニーは30日、インターネットを使った医療関連サービスを提供するグループ会社、エムスリーの株式の一部を、ゴールドマン・サックス証券に売却すると発表した。売却益は約370億円を見込み、17年3月期に営業利益として計上。損失を穴埋めするためとみられる。