自動車大手7社の2016年4~12月期連結決算が9日、出そろった。為替レートの円高傾向などが利益を圧迫し、ホンダとスズキを除く4社が営業減益を計上し、三菱自動車は赤字に陥った。17年3月期業績の見通しは、昨年11月の米大統領選後に円高が和らぎ、トヨタ自動車など4社が上方修正したが、トランプ米大統領の円安誘導批判や通商政策の変更が新たな懸念材料として浮上。主力の米国市場には過熱感もあり、業績の基盤は揺らぎ始めている。
日産自動車の田川丈二常務執行役員は9日の決算会見で「為替変動の逆風に直面しているが、事業の効率化を進める」と述べた。日産は通期業績の予想を据え置いたが、保守的な為替レートの想定を置いていたトヨタやホンダ、富士重工業、三菱自動車が上方修正し、業績は改善する見込み。
ただ、トランプ氏は日本などを「通貨安に依存している」と批判。先行きでは円高懸念もあり、「為替が振れているのを受け止め、企業体質を強化する」(トヨタの早川茂専務役員)と各社は警戒を強める。
また、自国産業を守る「保護主義」の台頭や、通商政策の変更も大きなリスクになる。トランプ氏は北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を表明し、協定加盟国のメキシコからの輸入品に高関税をかけることも提案する。日本車各社は「高い関税をかけられた場合の対応はせざるを得ない」(ホンダの倉石誠司副社長)。