
ニューヨーク近代美術館(MoMA)の1階メインロビーで、美術作品として展示されている「emoji」(上塚真由撮影)【拡大】
「絵文字は必然的に生まれたんです」。栗田の言葉通り、絵文字はLINE(ライン)などの「スタンプ」に発展し、今も使われている。
iモードが世に広げたものは他にもあった。「モバイルバンキング」もその一つだ。
iモードでサービスを提供する企業を探していた夏野剛(51)らのグループは、都市銀行に、携帯で残高照会や振り込みといった銀行取引ができるサービスを提案した。「携帯は無線だから」と不安視する担当者を、「一等地にATM(現金自動預払機)を置かなくても、顧客が取引をしてくれます」と懸命に口説いた。
「今回は絶対に失敗できなかった。キャリアの面でも、お金の面でも」
米国でMBA(経営学修士)を修めた夏野だったが、ドコモに入る直前は、自ら私財を投じて立ち上げた会社の経営が行き詰まっていた。
パソコン画面に広告を出しネット接続料を無料にするサービスを提供していたが、当時、パソコンの普及率は低く、契約やソフトの導入も高いハードルだった。それに対し、携帯は1人1台で、支払いも通話料金とひも付いている。ソフトも最初から入っている。「自分のキャリアがなくなる瀬戸際だった」という夏野だったが、「行ける」という確信があった。