ライザップの気がかりな買収 ジーンズメイト、店舗価値ゼロの現実 (2/3ページ)

 40万円を超えていた1店舗1日平均売上高は30万円を割り込み、14年度と15年度は26万円台での推移だ。リストラを進めたこともあって、店舗従業員も2人強から0.6人に減少。店舗運営はパート依存にすっかり移行し、従業員はそれぞれ2店舗を掛け持ちしているという計算になる。

 建物や構築物などの帳簿価額を示す、店舗の資産価値にも注目したい。10年2月期は、1店舗平均715万円だったが、翌年は0円、つまりは無価値になり、15年2月期には少額とはいえ価値を取り戻したが、16年2月期には再び無価値に転じている。ちなみに、トレーニングジムRIZAPの1店舗平均資産価値は、3000万円前後である。

「減損損失」で店舗価値ゼロの現実

 設備投資をしなければ、店舗の資産価値は年月の経過とともに自然に減少する。店舗の新設などに投じた資金は、使用する年数に応じて毎年度減価償却するからだ。だが、ジーンズメイトにしても毎年2億~3億円の設備投資を実施。したがって、店舗の資産価値は急激には下降しないものだが、現実にはたった1年で無価値になったりしている。

 ピーンとくる読者もいるだろう。店舗の価値がゼロになったのは、「減損損失」という会計処理をしたためである。企業の稼ぐ力が低下し、計上している店舗資産の回収が見込めない場合には、回収が可能な額まで帳簿価額を引き下げる会計制度だ。

減損損失の計上は、ジーンズメイトにかぎらない