【被災地へ 石油列車】日本海縦貫に電力確保の壁 JR貨物 異常時対策の苦悩 (3/3ページ)

2017.3.13 05:00

JR貨物本社の指令室。左が室長を務めた安田晴彦さん=2011年3月(ジェイアール貨物・リサーチセンター提供)
JR貨物本社の指令室。左が室長を務めた安田晴彦さん=2011年3月(ジェイアール貨物・リサーチセンター提供)【拡大】

 ◆原発事故で暗転

 同社の主力は本州-北海道便だ。通常、関東と北海道を結ぶのは東北本線で、西日本と北海道は主に新潟を経由し日本海縦貫線が用いられる。東日本大震災では東北本線の被害が大きかったが、新潟-青森間の日本海縦貫ルートは被害が小さかった。

 震災翌日の3月12日、安田さんは部下に「日本海縦貫を使った迂回(うかい)ルートを検討してくれ」と指示を出す。迂回が実現できれば、東北への緊急物資輸送にも使えるからだ。

 その希望の光は、東京電力福島第1原発事故で暗転する。事故により電力需給が逼迫(ひっぱく)したため、東電がエリアごとに順次電力供給をとめる「輪番停電(計画停電)」の実施に踏み切る。JRグループは当初、自社で保有する水力発電などで運行に必要な電力を確保できるとみていたが、踏切や信号などの保安機器は東電からの電力に依存している。結局、計画停電の実施エリアで列車を走らせることは困難となった。

 被災地では多くの人が避難所に身を寄せ、わずかな食料の配給にも列をなしていた。

 「寒いだろうに…」。何か運べないのか。萎えかけた“鉄道マン魂”に火がついた。

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