■図面から簡単に部品、モノづくり進化
製造現場で使う部品や工具のネット通販を手がけるミスミグループ本社が昨年6月、3次元の設計図面データをもとに金属加工部品を作る新サービス「meviy(メヴィー)」を始めた。商品の開発や生産に従事する企業担当者は、図面データさえ用意すれば、紙で図面を書いたり、加工業者を探したりしなくても入手できる。「製造業向けのアマゾン・コム」とも呼ばれる急成長企業が、モノづくりをさらに進化させようとしている。
◆見積もり最短30秒
新サービス開始直後に東京都内で開かれた「設計製造ソリューション展」。ミスミのブースには、メヴィーのデモをひと目見ようと人だかりができていた。
デモでは、サービス画面上に図面データをアップロードし、材質などを指定した途端、数メートル離れた場所の工作機械が部品を製作。あまりの早さに、来場者から感嘆の声が上がっていた。サービスの開発責任者で、金型企業体事業開発室の吉田光伸ジェネラルマネージャーは、その光景を見て成功を確信した。
メヴィーのように、金属加工部品を簡単に注文できるネットサービスはほとんどない。しかも、3次元の図面データを自動認識してブラウザ画面上に再現でき、価格や納期の見積もりは最短30秒で行う。一方、データはプログラム化されて工場に送られるため、早い場合だと2日で出荷される。ほかにも夜間に使えたり、1個から注文できたりするといった利点がある。
ミスミは以前から、ほしい部品をネット上のカタログから選び、注文できるサービスを展開してきた。さまざまな部品を標準化し、サイズや形状ごとに分類することで、特注の必要をなくしたのが特長だ。
ただ、あまり形状が複雑すぎると標準化するのが難しい。これに対し、メヴィーは図面データから作るため、かなり複雑でも対応できる。