ただ一つだけ公開しないものがあった。それは明太子の「味」を決める調味液の配合である。この配合を知っているのは、川原氏の妻と息子、まさに親子相伝。人間には好みがあり、いろいろな味があった方が結果的に市場が拡大するとの考え方があったからだ。いま同業他社としのぎを削って競い合っているのは、まさにこの明太子の「味」である。
川原氏が製法を公開したことで150社以上のメーカーが明太子の製造販売に参入した。あるメーカーはデパートに、別のメーカーは量販店に出荷した。こうして明太子市場は全国的に成長し、市場規模は1300億円に達している。業界ナンバーワンのシェアを誇るふくやの売上高は2015年度で149億円だから、製法公開による市場の広がりはすさまじい。
同社は生で“たらこ”を食べる習慣がなかった日本で明太子を食卓の定番の総菜、土産品として定着させることに成功した。製法を公開して明太子市場は巨大になったが、ふくやは独自の個性的な味をこよなく愛する消費者たち(池)にとっては「池クジラ」となっている。
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