
新宿伊勢丹本店【拡大】
そうした経営環境の中でも、大西氏は攻めの姿勢を崩さず、新規事業を矢継ぎ早に立ち上げた。三越伊勢丹の関係者は「人手不足で現場の負担が重くなり、社員の不満は徐々に高まっていった」と振り返る。
大西氏は2018年度に営業利益500億円を達成するという目標を掲げ、事業の多角化に力を入れていた。しかし、大西氏が新規事業に入れ込むほど社内で支持する社員が減っていった。大西氏の業績立て直しにかける思いは強かったが、それが空回りした形となっていた。
ある社外取締役は「業績が良ければ、何をしても許されるが、そこを理解していなかった」と指摘する。結果が出ていないにもかかわらず、メディアへの露出や外部活動が多く、そうした姿勢をおもしろく思わない社員も多かったようだ。
昨年11月の中間決算の発表では、不採算の松山三越(松山市)や広島三越(広島市)など地方4店の売り場縮小などのリストラの検討を表明した。この話は機関決定していないにもかかわらず、勝手に公表したため、役員の間でも大西氏への不信感が広がり、求心力を失っていった。
ある役員は「社長の任期が長く、スタンドプレーが増えた。裸の王様になってしまった。おかしいことを誰も注意する人がいなくなったのが不幸の始まりで、(経営統合を主導した)故武藤信一元会長がいれば、こんなことにはならなかった」と嘆息する。