
新宿伊勢丹本店【拡大】
3月13日、東京都内で三越伊勢丹HD次期社長の杉江俊彦取締役専務執行役員が会見した。会場には大西氏や石塚氏の姿はなく、1人で経営方針を説明する異例の会見となった。
杉江氏は「大西社長の側にいて、一番欠けていたのは対話だった。これからは対話を重視したい」と語った。会見前に労組と対話してきたことも明かし、協調姿勢をアピールした。
そして、杉江氏は「大西社長は成長戦略を優先させてきたが、私は構造改革を優先させたい」と述べた。杉江氏は経営企画本部長として労組との交渉を担当。大西氏による地方4店のリストラ発言では、火消しに追われた。
業績不振の三越伊勢丹は生き残りを図るため、不採算の地方店のリストラは避けられない状況だ。杉江氏も一枚岩ではない社内基盤で、リストラを進めるには、労組の力を借りなければ、実現できないのが実情だ。
伊勢丹と三越の社内融和について、杉江氏は「一部では問題があるが、今はもうほとんどない」としている。ただ、次のリストラでようやく融合してきた旧伊勢丹と旧三越の間に亀裂が生まれる懸念は否定できない。
盤石とは言い切れない社内基盤で大胆な構造改革を断行すれば、大西氏と同じ道をたどる可能性もある。そうは言っても構造改革が遅れれば、他社との差が開き、このまま凋落(ちょうらく)するリスクも抱える。
ライバルのJ・フロントリテイリングや高島屋は不動産事業に力を入れ、脱百貨店を着々と進めている。杉江氏が対話を武器に労組と良好な関係を維持し、大胆な構造改革を断行できるかが、今後の三越伊勢丹の命運を左右することになりそうだ。(経済本部 黄金崎元)