
DNP採光フィルムは、ブラインド併用により西向きの窓でも防眩と省エネを同時に実現できる=東京都新宿区の大日本印刷【拡大】
ただ、スマホなどのディスプレー用に設計された光学フィルムを、ウインドウフィルムに転用するためには、改良すべき点がいくつかあった。
従来の光学フィルムは、表面にある凹凸のレンズで反射、拡散することにより光を制御している。この凹凸が原因で窓ガラスにフィルムをきれいに貼れなかったり、付着したほこりなどのごみを拭き取る際に表面を傷つけてしまったりする課題があった。
「このままでは採光フィルムとしての商品価値がなかった」(山口さん)。そこで、凹凸のレンズを表面ではなく厚さ0.3~0.4ミリのフィルム内部に埋め込み、表面を平滑にした。これは、同社が持つプロジェクションスクリーンの加工技術の応用だった。
14年春には、同社の研究開発センター(千葉県柏市)の駐車場に実証実験棟を建設した。プレハブ平屋建てで、高さ2.2メートル、4メートル四方の室内を2つに分けて、採光フィルムを使用した場合としない場合で比較する実験などを行った。曇天で北向きの窓の場合、採光フィルムがあった方がなかった方より最大約2倍の明るさで、照明の電力消費量は13%削減できたことが分かった。
市川さんは「晴れた日もあれば曇りの日もあり、さらに東西南北の方向もある太陽光を効率的にコントロールするように設計するのが難しかった」と話す。使用する材料の光学特性や構造の最適化を図り、年間を通じて効率よく太陽光を採り込むことに成功した。