米原発事故めぐり巨額賠償免れた三菱重工 負の連鎖断ち切れるか (3/3ページ)

三菱重工業が蒸気発生器を納めたサンオノフレ原子力発電所=米カリフォルニア州(AP)
三菱重工業が蒸気発生器を納めたサンオノフレ原子力発電所=米カリフォルニア州(AP)【拡大】

  • 5度目となるMRJの初号機引き渡し延期を発表する三菱重工業の宮永俊一社長=1月23日、東京都港区の三菱重工本社

 ところが、ラング・オルークが4カ月分の代金が支払われていないとして工事を中断、約800人の作業員を現場から引き揚げた。「契約に基づいた代金は全て支払った」と真っ向から反論する川崎重工は、法的措置も辞さない構えで、既に新たな工事業者を探しているという。

 三菱重工と川崎重工のトラブルに共通するのは、海外を舞台としている点だ。

 三菱重工は、17年3月期見通しで4兆円の連結売上高を、来期は一挙に5兆円まで増やす目標を掲げる。国内市場が停滞する中、目標達成には海外進出が不可欠とはいえ、「それに付随してリスクも高まらざるを得ない」(外資系証券アナリスト)。

 MRJ開発など試練

 大型客船は撤退を表明済みで、損失がこれ以上膨らむ恐れはほとんどない。だが、MRJについては「開発がどの辺まで来ているとはっきりいえる段階ではない」(三菱航空機の篠原裕一業務執行責任者)。

 置かれた立場を見透かしてか、裁決結果が発表された3月14日に前日より22円も高い470円80銭に跳ね上がった株価だが、4月14日は431円60銭まで下落した。今回の裁決が追い風になるのは確かだが、試練は当分続きそうだ。(井田通人)