ヒノキを鉄骨並みの強度に 高知・室戸市のドーム、森林活用で画期的技術 (3/3ページ)

  • ラグスクリューとジョイントコーンを取り付けたヒノキの丸太

 トヨタ自動車の生産ラインをお手本に、作業はできるだけ物を動かさないようにもした。室戸市民8人が参加して3756本の部材を2カ月半で仕上げた。作業を請け負った建設会社社長の岩川好美さん(49)は「工程がシンプル。土木作業員や農家、アルバイトなど誰でもできた」と語る。

 高知県によると屋内運動場の事業費は周辺整備を含め約15億円。割高感もあるが、地元木材活用と地域の雇用を重視し県議会は予算を承認した。

 加工した丸太を組み合わせる球形のジョイントは、鉄の鍛造品だ。室戸市に工場がある山崎機械製作所(滋賀県湖南市)が担当した。このジョイントは昨年度の素形材産業技術賞を受賞している。

 十分な強度があるため地面で組み立て、鉄骨のようにクレーンで持ち上げる工法が可能だ。既に兵庫県福崎町の「さるびあドーム」や大津市の「松の実保育園」の遊戯室で利用されている。他の自治体からも問い合わせがあるという。キトラスは耐震補強にも活用できる。鉄骨に比べ軽いため重機は必要ない。見栄えもいい。大阪府池田市の石橋南小学校で実証済みだ。

 木の構造物の権威である小松幸平京大名誉教授(68)は「今井さんの仕事に不具合が生じたという話は聞いたことがない」と太鼓判を押した。