日本郵政は25日、2017年3月期連結決算で、15年に買収した豪物流大手トール・ホールディングスの収益力低下を反映し、4003億円の損失を計上すると正式発表した。最終損益予想は従来の3200億円の黒字から400億円の赤字に下方修正。連結最終赤字は07年の郵政民営化以降初めて。買収戦略の甘さを露呈した日本郵政は、海外事業の立て直しを進める方針だ。
損失として計上するのは、トールの買収額と純資産額との差額で、償却が終わっていない「のれん代」の全額3923億円と有形固定資産80億円。
一方、売上高に相当する経常収益予想は従来より900億円高い13兆3300億円に、経常利益予想は100億円高い7800億円に上方修正した。1株当たり25円の期末配当予想は据え置く。
同日の記者会見で、日本郵政の長門正貢社長は「重く受け止めている」と強調した。日本郵政と、トールの直接の親会社である日本郵便の主な役員は6カ月間、月額報酬を5~30%削減する。20%の対象は、長門社長と日本郵便の横山邦男社長。トール買収の判断に関わった日本郵便の高橋亨会長は報酬を30%削減し、代表取締役を外れる。