「これのどこが悪いのか」と思う読者も多くいるに違いない。しかし、これら全てがネガティブ・プレッシャーだ。研修に出させられる、出席をチェックされる、決められた席へ座らされる、禁止事項が説明される、後ろから監督される。ああしろ、こうしろ、あれはやるな、それはやるなという「やらされ感」満載の研修が、参加者の能力開発意欲を著しく低下させ、研修効果を阻害する。
そこで、真逆のことを実施した。希望する時間に希望するプログラムに参加する。出席チェックはなく(演習シート提出で出席者はわかる)、席は自由。さまざまな飲み物から好きなものをとっていただき、禁止事項は一切言わない(演習で忙しく禁止事項をする暇はない)、一切指名せず自由に発言する。オブザーバーは一人もいない。これだけのことで参加者の能力開発意欲は飛躍的に高まったことが実証された。
こうした仕掛けをした上で、「理論はあえて解説せず演習により行動で再現できるようにする」「講義は行わずビジネスケースの演習を繰り返す」というプログラムを実施し始めたところ、冒頭に紹介した諦観が払拭された。
それが、「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」だ。身に付けたいビジネススキルをパーツ分解し、コア(核)スキルを反復演習する。トヨタグループ・関連会社の役員・管理職研修やサントリーグループのサンリーブの営業研修など、年間100社3000人が参加するようになった。