
クボタ農機具を扱う販売代理店の一角を借りて割賦販売事業を行うGLFIの社員=ジョクジャカルタ市クラトン【拡大】
顧客獲得、審査、貸付金の回収などはGLFIが担うものの、ファイナンスはJトラスト銀行インドネシア(BJI)が受け持つ。販売対象商品や規模が拡大すれば貸し出しも増え、BJIの収益に貢献する。
期待の“大型新人”だけにJトラストの藤澤信義社長は「インドネシア全土にPOSを張りめぐらせる」と明言する。支店を設置できないところにデスクとパソコンを置いて金融サービスを提供、いわばBJIの代理店として活用していく考えだ。
◆日系企業へ認知向上
一方で、リアルな店舗の設置にも力を入れる。リストラの一環として支店の統廃合を進めてきたが、今年は10店舗を新設する。ATM(現金自動預払機)の増設にも取り組む。
マーケティング担当のボニー・ワヒュディ部長は「日系企業への認知度も高めるため、イオンモールへの出店を検討している」という。ジャカルタにおけるビジネスやショッピングの中心地で日本人も多く集まるブロックMに今年1月、ATMを備えた「パパイヤキャッシュオフィス」をオープンした。
ジャカルタ中心部から約60キロ離れ、日系企業が集まる「カラワン工業団地」にも支店を6月に開設する。地場銀行にもないカフェテリア併設店だ。日系企業向け営業部門を担う北岡望部長は「地場企業だけでなく日系企業にもアプローチできる強みを生かす。そのための看板として必要」と支店設置の狙いを話した。
高い経済成長が見込めるインドネシアは銀行にとって魅力的だ。しかし地場銀行ですら同国の隅々まで金融ビジネスを展開しているわけではない。
浅野樹美Jトラスト常務は「地方では口座開設率が20%程度で、銀行サービスはほとんど使われていない」と指摘する。だからこそJトラストグループは支店とATM、POS、さらにはモバイルバンキングを用意し、全国津々浦々で使える金融サービスを提供、訴求力を高めていく。(松岡健夫)