ところが、こうした厳しい市場環境にもかかわらず、最大手の青山商事の業績は堅調だ。その背景には「多角化」の成功がある。同社は、団塊世代の大量リタイアを見越して、スーツ以外のビジネスを積極的に広げている。11年には子会社を通じて焼き肉店「焼肉キング」のフランチャイズチェーン(FC)展開に乗り出し、12年にはカジュアル衣料品店「アメリカンイーグルアウトフィッターズ」の出店も始めた。15年1月に策定した3年間の中期経営計画では、非スーツ部門の売上高に占める構成比を26%に引き上げる目標を掲げている。
少子化やファッションのカジュアル化も加わり、今後もスーツ需要の先細りは避けられない。青山理社長は2015年の中期計画発表の際、こうした多角化を進める理由について「次の50年に向けた最初の3年間の成長戦略だ」と説明した。
その後も同社は「脱スーツ路線」にアクセルを踏む。15年末には靴修理や合い鍵などを手掛ける「ミスターミニット」を運営するミニット・アジア・パシフィックを買収した。ミスターミニットは日本とアジア太平洋地域で約560店を展開しており、事業多角化と同時に海外市場の開拓という二兎を狙う買収として、脱スーツ路線を鮮明に印象付けた。