そもそも、プレミアムフライデーの個人消費の経済効果を、EY総合研究所は、毎月月末の総計の年間消費額で3253億円、波及効果は5000億円程度と予測。一方で、第一生命経済研究所では、1日あたり135億から1236億円と前提条件で幅が大きく異なる。年間消費額が3253億円だとしても、月にすれば300億円に満たない。プロ野球の優勝セールで1回当たり400億から1200億円程度売り上げる球団もあることと比較しても、社会全体で取り組んだ経済効果にしては寂しい数字である。
イベントで財布のヒモはゆるむのか
ここでプレミアムフライデーがなぜ生まれたかを振り返っておこう。議論が起きたきっかけは、消費増税8%によって落ち込み、その後も低迷する個人消費を喚起する対策と言われているが、私見ではリーマンショックまで遡る。消費が伸びない不況下で気を吐いたのは、働く女性とシニア層だった。女性は正社員であれば自分磨きにお金をかけ、パートであればダブルインカムで余裕があり、リーマンショック後もそこまで消費は減らなかった。またシニア層は年金という固定の所得があり、今その消費は日本の個人消費の5割近くを占めるという説もある。
この2つの層の結合点は、「イベント」である。女性はバレンタインにはマイチョコ、お中元にはマイギフトなど、自分に対するご褒美が文化になった。またシニア層は、イベントになると孫へのプレゼント、お小遣いなどで財布のヒモがゆるむ。普段は節約しながらも、クリスマス、バレンタインデーなどのイベントだけは消費が喚起されたのだ。