近年の大きな成功事例としては、ハロウィンがあげられるだろう。若者のお祭りとしても定着し、シニア層を交えた3世帯消費を促進できたことが、成功の要因とも言われる。リーマンショック後に経済効果が倍増したハロウィンは、今やイベント消費の究極の成功モデルと評価されている。こうしたイベント需要への期待からプレミアムフライデーの議論は起きた。
しかし現状に目をやれば、イベント消費疲れが起きている。昨年11月、アメリカのクリスマス商戦の最初の黒字デーであるブラックフライデーをまねて、日本版ブラックフライデーが一部の大手小売店などで始まった。安さ爆発で経済効果はあったと言われている。しかし昨年の名目賃金の伸び率は0.5%。月に40万円稼いでも増えるのは2000円だ。結局、将来不安などから節約志向に大きな変化は起きず、イベント消費は一部の大企業の需要先食いイベントになってきている。
そして本来、プレミアムフライデーは消費喚起が目的で議論が始まったはずだが、政府の意向を忖度したのか、「イベントの日には早く帰って、ワークライフバランスの促進、労働生産性向上を」と、働き方改革までもセット化された。消費喚起と労働改革の一石二鳥が狙われるようになったのである。だが働き方改革を強化し、残業を減らすと賃金が減り、個人消費が減るという矛盾も懸念されている。