
武田薬品工業の分社化される研究部門がある湘南研究所。将来的には社外の基礎研究も受託したい考えという【拡大】
武田が創薬研究部門で分社化に踏み切ったのは、より成長性の高い事業に経営資源を傾ける「選択と集中」を徹底するためだ。武田は、がんと消化器系疾患、アルツハイマー病などの中枢神経系疾患の3つの領域とワクチンの開発に資金をつぎ込む方針で、それ以外の事業は、足元の収益をいかに高めるかが課題になっている。
クリストフ・ウェバー社長は昨年7月、「革新的なグローバル製薬企業を目指す」とし、社内組織の抜本的な見直しに着手。総額750億円を投じ、世界規模で組織を再編する方針だ。
M&A(企業の合併・買収)も加速している。同社の重点領域に位置付けるがんの治療薬に強みを持つ米製薬会社を約54億ドル(6100億円)で買収。製品化までに1千億円規模の巨費と十数年の研究期間を要するような新薬には、開発コストを踏まえ、創薬の先進企業や事業の買収を有力な選択肢にしている。
今回、武田が、製薬会社の肝である研究部門の体制を見直すことは、聖域なく事業再編に取り組む同社の強い意志を浮き彫りにしている。(安田奈緒美)