
パナソニックサイクルテックが6月に発売したスポーツタイプの電動アシストサイクル「ジェッター」(右)と「ハリヤ」=5月29日、大阪市北区の電子会館(上野嘉之撮影)【拡大】
仮に自動車市場のEV比率が数%~10数%まで伸びれば、電池の需要も数十倍~百倍超に膨らむ。
「テスラが年間100万台作る時代になれば、電池の価格は数分の1程度に安くなるのは間違いない」と片山氏。テスラはトヨタなどと異なって円筒形電池を採用しており、同じ技術を用いる電動アシスト自転車の電池もコストダウンできるという。
電動アシスト自転車で最も高コストの部品である電池が数万円から数千円に下がれば、「市場に出る自転車のほとんどが電動になっても不思議ではない」と片山氏はみている。
60歳でスポーツ自転車
もう一つ、自転車事業成長のきっかけとなるのが、日本社会の高齢化だ。片山氏は「自転車、自家用車、バス、公共サービスを含めて高齢者の移動手段を考えたとき、電動アシスト自転車をどこまで高齢者にカスタマイズできるかが、パナソニックグループに課せられた大きな使命だ」とアピールする。
その背景として、日本の生活環境が自転車向きであることを挙げる。例えば米国は国土が広く、個人の移動距離も長いため自家用車が最適だが、集積度が高い日本の都市では電動アシスト自転車の方が便利なことが多い。
片山氏はもともと著名な経済アナリストとして活躍し、昨年1月にパナソニックの役員に登用された異色の経歴の持ち主だ。現在はサイクルテック社長のほか、パナソニックでBtoB(企業間取引)事業を中心に手がける社内分社「エコソリューションズ社」の副社長も兼務し、介護関連事業を担当している。高齢化社会への対応をグループ全体で推進する旗振り役の立場から、次のように語った。