売却危機から起死回生へ パナソニックの自転車「売上高3倍増」目標の勝算 (4/4ページ)

2017.6.25 13:09

パナソニックサイクルテックが6月に発売したスポーツタイプの電動アシストサイクル「ジェッター」(右)と「ハリヤ」=5月29日、大阪市北区の電子会館(上野嘉之撮影)
パナソニックサイクルテックが6月に発売したスポーツタイプの電動アシストサイクル「ジェッター」(右)と「ハリヤ」=5月29日、大阪市北区の電子会館(上野嘉之撮影)【拡大】

  • 産経新聞のインタビュー取材に応じるパナソニックサイクルテックの片山栄一社長=大阪府柏原市の同社本社(板東和正撮影)
  • パナソニックのシニア層向け家電シリーズ「Jコンセプト」の電動アシスト自転車=4月4日、東京都江東区
  • スポーツサイクルの受注販売「パナソニック・オーダー・システム(POS)」で販売されているチタン製フレームのロードバイク(フレーム販売のみ。写真はパナソニック提供)

 それよりも、「電動化と高齢化という2つの要因で自転車の定義が変わる。モビリティー(乗り物)全体の中で自転車は魅力あるマーケットだと旗印を立て、自発的な成長シナリオを提示する。そのくらいしなければパナソニックグループの中で存在感のある事業になれない」と訴える。

 一方で、短期・中期的な成長戦略としてスポーツサイクルの強化を打ち出した。すでに開発部門の増員について、パナソニック経営陣から了承を得ており、今後2年程度で商品を大幅に増強するという。

 パナソニックは近年、テスラへの電池供給に象徴されるようにBtoB事業に傾倒しているが、片山氏は自転車を「交通の変化や高齢化に対応する、社会性のある消費者向け製品」と位置づけ、世の中の流れを変えながら事業を伸ばしていく方針だ。

 パナソニックの前身である松下電器産業の創業者、故松下幸之助氏は、自転車販売店のでっち奉公を経て起業し、自転車用ライトの製造販売などをきっかけに一大電機メーカーの地位を築いた。そんな「祖業」ともいえる自転車事業が、パナソニック成長の新たな象徴になるかも知れない。

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