
東芝株主総会始まる。会場に入る株主=28日午前、千葉・美浜区の幕張メッセ(酒巻俊介撮影)【拡大】
一方、WDが米裁判所に売却中止を求め提訴していることについては、「不当に売却を妨害しており、IBD連合にも理解していただいている」とした。
最後に、今後の東芝の姿を説明。「人々の暮らしと社会を支える社会インフラを核とする事業領域に注力していく」としたほか、エネルギー事業などの分社化で「各カンパニーの事業責任を明確化し、事業価値の最大化を図る」と説明した。
議案である9人の取締役の選任と、エネルギー事業などの分社化について趣旨が説明された後、成毛康雄副社長が株主から事前に寄せられた質問について一括回答した。
まず「経営危機に二度と陥らないためにすべきことは」との問いに対し、「不適切会計に続き、海外原発事業における巨額損失計上によって経営危機に陥り、改めて深くおわび申し上げる。現在、内部管理体制強化に取り組んでいる。グループ会社管理については、グローバル経営管理強化、リスクマネジメント強化の観点で臨んでいる」と成毛氏が回答した。
海外から撤退する原発事業に関し、「原発はエネルギーの安定供給、温室効果ガスの排出削減に貢献可能であり、重要なエネルギー源」とし、国内では引き続き責任を果たしていくことを強調した。分社化の社員への影響については「労働契約は新会社に承継され、労働条件に変更はない」と語った。
企業風土改革への取り組み状況については、「経営幹部を対象とした意識改革研修や、リーダーシップの資質を客観的に評価する『360度サーベイ(調査)』を実施し、人材育成などの材料としている」とした。ミーティングや対話を通じ、職場の風通しを良くするよう努めていることにも触れた。
一方、今後の人員削減については「現時点では検討していない」と説明。「経営陣、従業員が一丸となって経営危機を乗り越え、再生に取り組んでいきたい」と締めくくった。ここまで会場に怒号が飛び交うことはなく、株主は説明を静かに聞いている。