ほかにもカマンベールといった主要なナチュラルチーズは関税率が最大29.8%と高く、1000円の輸入チーズだと200円以上も安くなる余地がある。さらに「欧州産チーズは豪州産などと比べブランド力が高い」(大手食品幹部)とされる。国内メーカーは厳しい競争にさらされることになるが、消費者には朗報だ。
一方、日本の輸入車販売の上位には、独メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲン(VW)など欧州車がずらりと並ぶが、これらの国内価格には直接関係ない。そもそも日本は輸入車の関税をすでに撤廃しているからだ。今回のEPA交渉では、あくまでEUに輸出される日本車の関税が協議の対象だった。
消費に詳しい日本経済大学の西村尚純教授はEPAについて「(輸出も含め)日本経済全体にはプラスだが、節約志向が根強いなか関税が引き下げられる品目だけでは、直ちに国内消費全体を盛り上げるような力強さには欠ける」と指摘する。(大柳聡庸)