【知恵の経営】酒造りの「見える化」進める (1/2ページ)

 □アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明

 独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を維持している中堅企業を紹介している。今回は、純米大吟醸酒の「獺祭(だっさい)」を製造している旭酒造(山口県岩国市)の池クジラぶりを見ていく。

 同社は1770年の創業で、会長の桜井博志氏は1976年の入社。清酒消費量は75年をピークに、2014年には3分の1にまで減った。縮小する市場に危機感を抱き、酒造りの方向性や経営をめぐって先代の父親と対立して退社。しかし父の急逝で1984年に戻り、社長に就いた。酔えばいい、売れればいい酒ではなく「おいしい酒・楽しむ酒」を造る酒蔵を志し、2つのことに取り組んだ。

 一つが「獺祭」にブランドを統一し、原料を兵庫県産山田錦に限定した純米大吟醸酒のみに商品を特化すること、もう一つが製造方法の改革である。

 桜井氏が家業に戻った当時、岩国市内で売上高4番目の一級酒や二級酒を地元向けに造る小さな酒蔵だった。当然展望など描けるはずもない。そこで本当においしい楽しむ酒に一点集中し、東京、そして世界に向けた新市場を開拓しようと純米大吟醸酒の開発を決意した。白米、米麹、水だけを原料とし、白米の精米歩合が50%以下の純米大吟醸酒の醸造は、高度な技術や設備が必要で大きなチャレンジだった。

 最も重要な原料の米は、最上級の特Aランクに指定された兵庫県産山田錦だけを使用。さらに「磨き」と呼ばれる精米工程を工夫し、精米歩合23%の「獺祭・磨き二割三分」、同39%の「同三割九分」、50%の「獺祭・純米大吟醸50」を造った。精米歩合が低い(磨く割合が多い)ほど雑味の元になるタンパク質が減り、味は良くなる。「獺祭・磨き二割三分」は2002年モンド・セレクションで金賞を受賞した。

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