
フィロソフィア代表取締役社長の藤村哲哉氏【拡大】
海外でストーリーやキャラクターを自由に変えられてはIPに傷が付く。だからといって最終承認権を権利者が握ったままでは話は進まない。シノプシスと脚本の間に位置するトリートメントの段階で意見を出し合い、双方の意向を反映させていく。「相手が本当に欲しいIPなら、そうしたディールでも成立するだろう」と藤村氏は指摘する。「決めたい同士が話せばどこかで落ち着く」。後は完成に向かって進むだけで良い。
「日本文化がハリウッドの製作能力で映画化されて、グローバルな流通網によって世界中の観客に届けられる」。藤村氏がフィロソフィアでの事業を通して目指しているのは、そうした状況がもっと活発になること。それは、権利収入が入ってくるだけでなく、「日本人の俳優や製作スタッフの参画によって、日本の才能(タレント)が世界に進出する機会を創出する」ことにもつながるという。北村龍平監督のようにハリウッドから声がかかる日本の監督もいるが、IPや作品が日本からもっと世界に出て行けば、才能の方もいっしょに世界に出て行けるだろう。
海外で映像化が進められている日本のIPでは、映画「ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ」が2019年に公開予定で、映画「ゴジラ対キングコング」も2020年の公開が予定されている。漫画やアニメの原作では「NARUTO -ナルト-」「AKIRA」「宇宙戦艦ヤマト」「TIGER & BUNNY」などが映画化の企画として浮上。映画に負けない予算規模で作られるハリウッドのドラマも、川原礫氏のライトノベル「ソードアート・オンライン」や1998年放送のテレビアニメーション「カウボーイビバップ」が企画に挙がっている。
映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」に関しては、決して良好な興行成績とはいかなかったが、藤村氏によれば「アヴィ・アラッドは少し時間をおいて続編も作りたいと言っている」とのこと。10年がかりで企画を実現させた粘り強さで、いつか続編を見せてくれる日が来るかも知れない。