
経営難が続く東芝の本社ビル=東京都港区【拡大】
東芝は有報を法定期限の6月末に提出できず、今月10日まで延期した。新たな期限までわずかだが、PwCあらた監査法人との協議は難航しており、お墨付きがない異例の状態で提出する可能性が出てきた。
PwCあらたは東芝が米原発事業の巨額損失を認識した時期を問題視。東芝は昨年12月に認識してその時点で損失を決算に計上したと主張したが、PwCあらたは東芝が16年3月に損失を認識していた可能性があり、遡(さかのぼ)って決算を修正する必要があると指摘する。
宙に浮く売却計画
東芝はPwCあらたから具体的な修正額が示されれば、それに沿って修正する構えだが、いまだに「結果待ちの段階」(関係者)という。残された期間で決算を修正し、再度の監査を経て適正意見を得るのは現実的に難しい。東芝は東証による上場可否の審査を受けている最中であり、有報に「意見不表明」や「不適正意見」がつけば、審査に悪影響が出るのは必至だ。